「手放したいのに手放せない」私。恋も不安も執着も、どうして私はこうなるの?
① 導入:その“焦り”と“心の引っかかり”に名前をつけてあげる
30歳を過ぎたあたりから、胸の奥に妙な焦りを感じることが増えた。
キャリアはそれなりに順調。
仕事では責任ある立場を任されるようになったけれど、ふとした瞬間に、言いようのない不安や孤独に襲われる。
恋愛だって、うまくいっているように見える。
でも、連絡が少し途絶えただけで心がざわついたり、些細なことで彼の気持ちを疑ったりして、どこか苦しい。
「このままでいいの?」「私だけ、本当に大切なものから取り残されてない?」
夜、一人になるとそんな問いかけが頭の中を駆け巡り、眠れなくなる。
もしかしたら、あなたも同じような気持ちを抱えているかもしれませんね。誰にも言えない、心の奥底のざわつき。
今日は、そんなあなたの心にそっと寄り添い、その“焦り”や“心の引っかかり”の正体に名前をつけてあげるお話をしたいと思います。
② なぜ“手放したいのに手放せない”のか?
「彼への執着をやめたい」「未来への漠然とした不安に振り回されたくない」
そう強く思っても、心がまるで自分の意志とは関係なく、勝手に反応してしまう。
そんな経験はありませんか?
それは決して、あなたの意志が弱いからでも、性格がネガティブだからでもありません。
その根源には、私たちが生き抜くために備わっている“脳の仕組み”、特に生命維持を司る原始脳(本能)の働きが深く関わっているのです。
原始脳は、常に「安心・安全」を最優先に考えます。
「変化」や「不確かさ」は、原始脳にとって危険のサイン。
だからこそ、あなたが「手放したい」と理性で思っても、原始脳は慣れ親しんだ状態にしがみつき、変化を恐れるのです。
時には、安心を得ようとするあまり、かえって不安を握りしめてしまうという、paradox(逆説)的な行動をとることもあります。
例えば、「彼がいなくなったらどうしよう」という不安から、必要以上に連絡をしたり、束縛してしまったりするのも、原始脳が「繋がっていれば安心」と感じようとする、不器用な試みなのです。
③ よくある“30歳の壁”と心のしくみ
30歳前後というのは、人生において大きな変化が訪れやすい時期です。
周りの友人たちが結婚したり、出産したりするのを目にする機会が増え、「自分だけが置いていかれているのではないか」という焦燥感に駆られることもあるでしょう。
「私の生き方は、本当にこれでいいのだろうか?」
そんな見えないプレッシャーを感じてしまうのは、あなたの心が弱いからではありません。
それは、私たちの脳に深く刻まれた本能的な反応が引き起こすものなのです。
- 比較本能:私たちは、常に自分と他人を無意識のうちに比較してしまいます。特に、人生の大きなライフイベントにおいては、その比較が強まり、焦りや不安を生み出しやすくなります。それが本能の力。生き延びようとする本能の力は心の持ち方なんかで制御できるほど弱いものではありません。
- 未来への恐れ:原始脳は、予測できない未来に対して強い警戒心を抱きます。「この先どうなるのだろう?」という漠然とした不安は、生存本能があなたを守ろうとするサインなのです。
- 世間体への意識:集団で生きてきた私たちにとって、「他人からどう見られるか」は非常に重要な問題でした。社会的な規範や世間体という無言の圧力は、あなたの行動や選択に影響を与え、不安や執着を生み出すことがあります。
このように、30歳前後の女性が抱えやすい不安や執着の根底には、あなたを守ろうとする脳の“自動反応”があるのです。
しかもこの自動反応、思考よりも0.35秒程早く働きを始めるのです。
だから思考はその反応に従ってしまうのですね。
④ 執着や不安を「消そう」とするから、苦しくなる
「こんなに執着してしまう自分はダメだ」「いつも不安ばかり感じてしまうのはいけないことだ」
私たちは、つい自分の感情を否定し、無理やり消そうとしてしまいがちです。
しかし、感情は無理に抑えつけようとすると、かえって強まる性質を持っています。
大切なのは、執着や不安を「消そう」とすることではなく、「そこにある」とただ認めてあげることです。
まるで、迷子になった子供が親に気づいてほしくて泣いているように、あなたの感情もまた、あなたに何かを伝えようとしています。
その声に耳を傾け、「そうか、あなたは今、そう感じているんだね」と受け止めてあげることが、心の平穏を取り戻すための第一歩です。
その声に「本能ちゃん」や「困ったちゃん」みたいな名前を付けるのもアリです。
だって、原子脳=本能(脳幹)は私たちの思考(大脳)とは別の脳なんですから。
また、自分の気持ちを書いたり、誰かに話したり、可視化したりするのも有効です。
そうすることで、モヤモヤとした感情が客観的に見つめられるようになり、自己理解が深まります。
⑤ ひとりで頑張りすぎないで。あなたのペースでいい
誰にも言えず、心の奥底で一人で悩んでいませんか?
「こんなことで相談してもいいのかな…」とためらってしまうかもしれません。
でも、感情の正体を誰かと一緒に見つけていくことで、驚くほど心が楽になることがあります。
無理に前向きになろうとしなくても大丈夫。
ただ、「なぜ私はこう感じるのだろう?」と自分自身を知るだけでいいのです。
もし、「誰かに話を聞いてほしい」「自分の気持ちを整理するのを手伝ってほしい」と感じたときは、いつでも頼ってください。
あなたのペースに合わせて、一緒に心の重荷を降ろしていくお手伝いができればと思っています。
⑥ まとめ:あなたはすでに頑張ってきた人
胸に湧き上がる執着や不安は、あなたがこれまで真剣に生きてきた証です。大切なものを失いたくない、より良い未来を掴みたいという、あなたの心の叫びなのかもしれません。
だから、「手放せない私」を責める必要は全くありません。
大丈夫、あなたはもう十分に頑張ってきました。ここから少しずつ、心の荷物を軽くしていきましょう。
あなたの心が、もっと自由に呼吸できますように。