サラリーマンになって少し自信が持てるようになった30歳になって間もないころ、突然パニック障害を発症しました。
仕事はおろか外出さえままならなくなり、自分の人生に失望する日々が続きました。
退職し経済的にも苦しい毎日は文字通り生きているのも辛い時間でした。
10か月間も病院を頼り、宗教にも頼ったにもかかわらず、改善するきっかけさえ見えない中、なんでも治しますという新聞広告に誘われ京都のお寺に行きました。
目の前で何やら唱えられながら10分ほど経過したころ「はい治りました」との言葉。
「これで終わりですか?」
「はい、もう終わりました」
そう言われても、という言葉を飲み込みお寺を後にしました。
何の変化も感じられないまま夕暮れの京都駅のホームであまりの情けなさに涙があふれ、もう何かに頼るのはやめようと決めました。
自分の中ではタブーだった「死」について、信じてもいなかった神に問いかけ、考え始めて数日経ったある夜、突然「生きること死ぬことを含めすべての出来事は私たちの背後で働いている力に委ねられている」という言葉とイメージを見聞きしました。
その瞬間、大きな安心感と幸福感に包まれ、死に対する恐れや多くの不安が消えるというスピリチュアルな体験をしたのです。
当然のようにパニック障害の苦しみから逃れることが出来ました。
パニック発作は残ったものの心が反応しないので、それほどの苦しみではありません。
パニック発作も徐々に減り、3か月もするとほとんど起きなくなりました。
この世界のいろいろなことを神から教えてもらった私の興味は脳とエネルギーに向かい、人生が大きく動き始めました。
パニック障害の時に力になってくれた整体の先生に誘われ、1982年より整体をを学ぶことになり、8年後には整体治療院を経営するようになると同時に、心理カウンセラーとしてうつ病やパニック障害を始めいろいろな悩みや苦しみを軽くするお手伝いをするようになりました。
実は、人生は思う以上にシンプルなものです。
複雑にしているのは他ならぬ自分自身です。
カウンセリングを始めてこのことに気づいてからは、カウンセリングが楽しくなりました。
人の悩みや苦しみに寄り添うなんて偉そうなことも、人の役に立つなんて崇高なことを思ったからではありません。
ただ、もつれた糸をほぐすような感覚が楽しく感じたからです。
ほとんどの人は他人はもちろん、自分のこともよく分かっていません。
自分がどんな迷路に迷い込んでいるのかを一緒に見つけて抜け出し、ホッとされた顔を見るのが快感なのです。
私の体験を基にパニック障害の全体像を一緒に考えてみましょう。
パニック障害の正体が理解できれば、治るのはそれほど難しいものではないと思います。
心理カウンセラー 永田豊