脳の不思議
自覚はないのですが、私たちが何かをしようとする0.2秒前には脳内で「決定シグナル」が確認されるそうです。
でも、
さらにそのシグナルが確認される0.35秒前にはその決定を促す準備シグナルが確認できるのだそう。
つまり、われわれが意識的な決定をする前に脳内ではその決定を誘う動きがあるのです。
この提言のおかげで、我々には自由意志というものがあるのかないのかの議論が進められています。
以下に1983年にアメリカの生理学者ベンジャミン・リベットが寄稿した論文があります。
翻訳機能を使えば何とか理解できるレベルになりますので、試してみてください。
https://academic.oup.com/brain/article-abstract/106/3/623/271932?redirectedFrom=fulltext
引用元:オックスフォード大学出版局
脳神経学的な議論は学者たちにお任せするとして、私たちは生きていくうえでとても大切な情報を与えられたと思ってください。
今まで自分で考え、自分で決定し、自分で行動してきたと思っていたのに・・・
実は脳が自分の思考や決断や行動を支配していたとは。
私はこの事実に直面した時に、身震いするほどの感動を覚えました。
なぜなら私がパニック障害で苦しんでいた時、自分の思考よりも脳の暴走(パニック発作の不安を私はそう感じていました)の方がはるかに優位だと感じていたからです。
脳の持つ基本的欲求
自分のことはなかなか分かり難いのですが、私たちの思考や言葉や行動の奥底には
不安から逃れたい
安心したい
不快から逃れたい
気持ち良くなりたい(快楽を追い求めたい)
という4つの欲求があります。
脳があなたの思考よりもこれらを優先することで、あなたの思考はそれにつられてしまい、理性的な判断とはかけ離れた決断をする危険性が大きいと思ってください。
特に人間関係においては相手より上のポジションを取ることで、不安から逃れ、安心し、気持ち良くなることが常ですから、あなたが理性的に考えるより早く、腹を立てたり・嫌味を言ったり・悪口を言ったりしてしまいます。
原始脳の働き
すべての人がこれら4つの欲求を持っていることから、これを本能とみなし、本能を司る原始脳がこれらの欲を持っていると仮定しました。
原始脳の欲求と仮定すると、私たちの持つ悩みや苦しみのほとんどは原始脳から生まれることが分かります。
なんと、人間のほとんどの行動パターンは動物と同じように本能に強い影響を受けているのです。
ちょっと原始時代の生活を想像してみてください。
周りには危険があふれています。
集団で生活していますから、人間関係も大切です。
そんな厳しい時間を何万年、何十万年と続けた結果、私たち人間は不安や不快を敏感に察知するようになったのです。
また、動物の世界と同じように力が正義となったのです。
常にびくびくしていたほうが生き残る確率が上がり、人より強いことがより生存に適していたと考えられます。
悩みの元は原始脳
お伝えしたように、私たちの祖先は、生存において不安や危険を察知することが重要でした。
例えば、過酷な環境や捕食者から身を守るために、不安や恐れを敏感に感じることで生き延びてきました。
このような生存のための遺伝子が私たちに受け継がれており、現代社会でもその影響が見られます。
たとえば、失敗や拒絶に対する恐れや不安は、社会的地位や生存に関わる可能性を感じ取ることで、祖先が経験した危険への対応としての遺伝子の一部と考えられます。
その結果、私たちは日常生活でさまざまな悩みや苦しみを感じることがあります。
たとえば、新しい挑戦に対する不安や人間関係でのトラブルによるストレスなどが該当します。
これらの感情や反応は、私たちの祖先が遭遇した状況に対する生存戦略の遺産であり、現代の日常生活での悩みや苦しみを生み出しているのです。
理性よりも本能が勝つ
人と仲良く、人には親切に、人を理解し、なんて理想よりも、人より上に立ち安心や心地良さを感じることのほうを優先してしまいます。
原始時代の暮らしは猛獣や他の集団の脅威、食べ物の不足などに対処するため、集団生活が基本でした。
そのため、仲間外れは死に直結するものでした。
しかし、集団生活をすると、上下関係が生まれます。
力が上下関係を決める最大の要因ですから、女性より男性が上になります。
男性の中でも力の強いものが上に立ちます。
地位が高いほど食事や子孫を残すのに都合が良いので、皆上に立ちたがります。
実に単純ですね。
仲間外れを恐れ、女性を蔑視し、マウントを取りたがるのは原始人の思考です。
でも、私たちにはその原始人の遺伝子が残っていて、理性よりも優位に働いています。
私は個人的に、ほとんどの悩みや苦しみはこの原始人の思考から生まれると確信しています。
ただし、
原始脳はもう一つの大きな力を持っています。
それが、楽しいと思うことがより大きな幸せ感を誘うという力です。
幸せホルモンとか快楽ホルモンと呼ばれる脳内伝達物質が作用することで、この現象が起きます。
原始脳のネガティブな面に支配されて、怒りや妬みや不安を抱きながら人生を過ごすか、原始脳のポジティブな面をうまく使って楽しい人生を過ごすか、私たちはどちらの選択もできるのです。
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