大安心の世界
私がパニック障害の発作に心が折れそうになっているとき、触れた仏教の本に書いてあった「大安心」という言葉に憧れ、どうすればその「大安心」が自分のものになるのか探しました。
どんなに本を読もうと、話を聞こうと答えはありませんでした。
学んだ仏教も新興宗教も、結局は精神論としか思えませんでした。
感じたのは絶望も絶望、これ以上落ち込めないと思えるほど絶望しました。
頭の中が空っぽになりました。
そして突然の悟り体験。
見事に一瞬で「大安心」の世界に入ることができました。
悟りの体験
パニック障害を何とか治したいと思ってやってきたのは誰かに何かに頼ることでした。
誰でもいいからこれを治してくれって感じですね。
病院に行っても、宗教に頼っても、結果が出ないことに不満がいっぱいでした。
極め付きが京都のお寺でした。
「なんでも治します」という新聞広告に誘われて京都まで出かけました。
パニック発作が起きたらいつでも降りられるように、各駅停車のこだま号で。
目的のお寺に着き、案内されると目の前にお坊さんが座り何やら唱えられてしばらくすると「はい治りました」の声。
自分では体も、得体のしれない不安感にも全く変化がないままお寺を後にしました。
パニック障害が消えてなくなるという期待は見事に吹き飛び、むなしさを抱えて京都駅に着きました。
夕暮れ前の駅のホームに立っているとあまりの情けなさに涙があふれてきました。
帰りの新幹線で、もう何かや人に頼るのはやめようと決めました。
その夜から、それまで自分の中ではタブーだった「死」について考え始めました。
信じてもいなかった神にも、生きること死ぬことについて問いかけました。
考え始めて数日した夜突然に、死ぬこと生きることをはじめすべての出来事の背後には見えない力が働いている、という言葉が沸き、この世界はエネルギーでできているというイメージが見えました。
思わず布団から立ち上がるほどの衝撃でした。
その瞬間に一年近く苦しんだパニック障害が治った瞬間でした。
パニック発作が起きようと心は以前と違い不安に支配されることはありません。
いつくるか分からない発作におびえていた自分はいなくなりました。
宇宙とつながっている自分を知りました。
お釈迦様は宇宙を見た
お釈迦様の悟りがどんなものだったのかそのときは全く知りませんでした。
あるとき、ふと手にした本の一節を読んで体に電気が走りました。
他のページでも書きましたが、それは、最古の教典と言われている「法句教(ほっくきょう)」の中にあった次の言葉です。
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374 、個人存在を構成している諸要素の生起と消滅とを正しく理解するに従って、その不死のことわりを知り得た人々にとって喜びと悦楽なるものを、かれは体得する。
ブッダの 真理のことば 感興のことば」(岩波文庫 中村元訳)
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私はこの言葉を読んだときに、お釈迦様が言われたのは単なる精神論なんかじゃなく、エネルギーと物質の関係性について話されたのだと確信しました。
言い方を変えれば、私たちの目に見えるものと見えないものとの関係性についてですね。
お釈迦様は自分の本体は永遠であることや、自分が認識している自分はその本体が作用して現れているものに過ぎない、と知られたのです。
2500〜2600年も前にこのことを知られた、ということは。
答えは、悟りは、やはり自分の中にあったのです。
私がかいま見た悟りのイメージを説明しようとすると、持ち出さなければならないのは量子論です。
素粒子が、エネルギーがなんて、勉強された方はお分かりでしょうが、非常に難解なものです。
お釈迦様が量子論について何の知識も持っていない中で、まさしく命というエネルギーに言及されていることは、すべての人間にはもともと宇宙の知恵が備わっていると考えざるを得ないのです。
すべての物質のもとはエネルギーです。
私たちの体も細かく細かくしていくと、これ以上細かくできない何かに行き着きます。
それが素粒子であり、エネルギーでもあります。
私たちの体は素粒子から、エネルギーから作られている、と学問では解明されている、と聞いてどうですか?
エネルギーは不滅だから、自分の元となっているものも不滅、であれば自分も不滅、なんて思えますか?
思えませんよね。
自分の本体はエネルギー、だから自分は不滅、と知ることが悟りです。
お釈迦様はそれを知られたのです。体験されたのですね。
お釈迦様が見たのは宇宙そのものだったのです。
悟りは困難だと考えられています。
厳しい修業が必要だとも言われています。
私は自分の体験から、悟りはすべての人に開かれている体験だと考えています。
自分を見つめ、生きることや死ぬことについて考えているうちに、自然に導かれるようなものだと思います。
そして、この世界はエネルギーで動いていると知ると不安も恐れも消えてなくなります。
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