脳に支配されている
私たちの大脳はほぼ白紙の状態で生まれてきます。 成長するに従って、社会で生きて行く上で必要となる知恵や知識を蓄えて行きます。
同時に経験をもとにした価値観も育ち、ある程度の年齢になるとその人なりの価値観が出来上がります。
そのこと自体は何の問題もないのですが、そこに脳のクセが加わることで厄介なことになります。
脳のクセとは私の造語で、状況や情報に応じて脳の反応には一定のパターンが見られることからクセと名付けました。
基本的に脳は、
不安から逃れ、
安心を求め、
不快から逃れ、
快楽を求める、
という原始脳から生まれる欲求を持っています。
自ら拒否しない限り、あなたはこれらの原始脳の欲求に従って思考を組み立てます。
設計図も仕様も材料も同じですから、同じ状況に置かれるといつも同じ思考になってしまいます。
パターン化された思考、すなわちクセになるのです。
なるほど、と思えなければ自分の思いや言葉や行動を観察してみてください。
他人の思いはわかりませんが、言葉や行動は観察できますので試してみてください。
言葉や行動にある一定のパターンがあることに気づくことができるでしょう。
そしてその言葉や行動の奥にひっそりと隠れている原始脳の欲求を見ることもできるはずです。
脳のクセとは
生存本能に従って、程度の違いはあれ、すべての人には成長とともに自己保護という性質が自然に備わります。
生存本能が体を守ろうと働くのに対して、自己保護という性質は精神を守るように働きます。
ほとんどの人はこの性質に従って、無意識のうちに自分が一番、自分は正しいと思い込むことで、心の安定を保とうとします。 だから、自分を正当化することに関しては一人一人が世界一なのです。
このことに気づかない限り、あなたも自分を正当化し自分を大きく見せようと時間やエネルギーを無駄に使うことになります。
それだけではなく、精神を安定させるために備わったはずの脳の性質が結果として精神を追い詰めるように変化しますから、毎日が楽しくないと感じるようにもなるのです。
楽しく幸せに人生を過ごしたいなら、自分に備わった脳のクセに気づき、そこから離れることが必要です。
価値観の奴隷
どこまでも自己を正当化する脳のクセと価値観が脳の中で一緒になった時、ほとんどの人は価値観の奴隷になってしまいます。 自分の持つ価値観が何よりも正しいと思い込んでしまうのです。
そうなると論理的な思考などどこかへ吹っ飛び、価値観に従って反応するだけになります。
もちろん何の疑問も持ちません。
自分の思考を観察してみると分かるのですが、人は実に多くの時間を使って自分を正当化したり、言い訳を考えたり、自分と人を比べたりしています。 いやはや頭の中が忙しいわけですね(^^;
しかもほとんどの悩みは、価値観の奴隷になっていることから生まれます。
まことに何一つ良いことはありませんね。
にもかかわらず多くの人は自分の持つ価値観から解放されようとはしていません。
なぜだか分かりますか?
そもそも価値観に支配されているなんて気が付いていないからです。
あなたはどうですか?
例えば、あなたの周りにだれか頑固だなと思える人がいたら・・・
すでにあなたも自分の価値観に縛られていると言えます。
頑固や強情というのは「自分の主張にこだわり人の言うことを聞かない人」のことを表します。
でも、
相手から見たあなたはどうでしょう。
あなたも同じく「自分の主張にこだわり人の言うことを聞かない人」に見えています。
自分の主張のほうが常識的だ、皆そう思っている、ほとんどの人はそう自分を擁護します。
このように人は自分の正当性を押し通したくて仕方がないのです。
そして、押し通すほど人間関係は難しいものになります。
経済的に困窮するのも、病気で辛い思いをするのも、人間関係で悩むのも、価値観の奴隷になっているのが原因だと気付いていないのです。 ただし、もし気付いたとしても自分の価値観から解放されるのは容易なことではないのですが。
人生に正誤はない
原始脳に思考を支配されると正解を求めてしまいます。
私の話しも価値観に従って正解か不正解か確かめようとしているはずです(^^;
どう判断するかは自由です。
ただし、もし人生を楽しく過ごしたいのならば、価値観から自由になるのが手っ取り早い方法です。
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