全ては進化している
流れのないところ水は腐ります。国家といえども、流れのないところ水は腐る。同じことであります。日に日に進化、進歩しなくてはならない。進歩のないところ渋滞します。渋滞するから問題が起こってくる。きわめて簡単なことであります。
『松下幸之助発言集11』(「日本を考える青年会議」での講演・1969)
日々の生活の中ではなかなか気づきにくいのですが、私たち人間を含めたすべてのものは一刻一刻進化し続けています。
進化というエネルギーが全てのものに作用しているからです。
その作用によって私たちも宇宙も進化が続いています。
つまり私たちが認識しているこの世界は、進化という方向性・目的を持っていることになります。
したがって、自分の生き方が進化という方向性と一致すれば、最高の人生を手に入れることが出来ると言えます。
なぜなら人においての進化とは、最高の自分を目指すことになるからです。
もちろん人間だけでなく地球も宇宙も最高を目指しています。
進化とは何?
1996年にエイドリアン・ベジャンが発表した「コンストラクタル法則」は物理学が専門でない私のような者にも分かりやすく進化を説明する法則です。
紀伊国屋書店の内容情報では
「生物・無生物を問わず、すべてはより良く流れるかたちに進化する」――この画期的な物理法則を「コンストラクタル法則」と名付けて1996年に発表した熱力学の鬼才ベジャンは、2018年に米国版ノーベル賞とも言われるベンジャミン・フランクリン・メダルを受賞した。
「生命とは何か」という野心的な探究を軸に据えた本書で著者は、富と資源の流れや、階層制の遍在性、テクノロジーやスポーツや都市の進化、政治や社会を支配する原理、時間や死の諸相までを見渡しながら、生命と進化のみならず、さまざまな事象への見方をくつがえすような、戦闘的な文章で読者を圧倒する。
本書でベジャンは「生命」「進化」を、物理の視点で語る。
生命という定義には生物も無生物も関係ない。 動きながら自由に変化している=流れているものが生命だ。 流れが尽きた系には終焉(死)が訪れる。生命とは、より長く生きたい、食物や暖かさ、力、動き、 他の人々や環境に自由にアクセスしたいという衝動なのである。
そしてベジャンはコンストラクタル法則の導きを元に、 確固たる自信をもって、より良い未来へ向かう世界を提示する。参考元
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784314011679
と紹介されています。
まるで松下幸之助氏と同様の世界観を物理で語っているようです。
コンストラクタル法則を無理やり要約すると、水の流れがより早くより遠くに届くよう作られるように、雷が電気の通りやすいところを求めて稲妻がギザギザになるように、すべてのエネルギーは最も効率的な流れをデザインし、この世界のすべてのものは、より良い流れを作るという目的をもって進化する、ということかなと思います。
自由であるという条件が満たされれば、我々のような生物もビジネスのような無生物も、最も効率的に進化するということであり、人もお金も流れやすいところに流れるということでもあります。
賛否はあると思いますが、全ての出来事はエネルギーによって引き起こされ、その目的はこの宇宙の進化のためだと考えられます。
常により良い状態を模索するのが進化だとすれば、
最悪だと思っているその瞬間が実はその人にとっては一番良い状態だとも言えます。
病気でも、あるいは死でさえも、自分の進化にとっては最良の出来事だと言えます。
運命?
こんな話をすると「運命のようなものですか」と聞かれることがよくあります。
そんな時は、進化のエネルギーが自分に作用していることは運命と考えても差し支えありませんが、自分の進む方向は自分で決められる、と答えるようにしています。
自分の未来は自分で決められることは、エネルギーの流れという観点から見るとごく自然なことだと思います。
私がパニック障害で大きな絶望を抱いてたある夜、自分だけでなく全てのものは大きな力に内包されていると天に教えてもらった瞬間、それまで感じたことのない大きな安心感と幸福感を抱きました。
それは実に衝撃的な体験で、その瞬間につらかったパニック障害が軽快し、その経験がもとで私の関心は脳とエネルギーに向かうことになりました。
全てのものや出来事の背後にはエネルギーの作用があると知ったと同時に、自分に作用するエネルギーが自分を進化へと誘ってくれると知りました。
つまり、自分の思いや言動が生むエネルギーが自分の進化にとって最適な場所へ自分を連れて行ってくれるということです。
絶望が気づきを生み、その気づきが自分を進化させ、最高に幸せという人生に運んでくれたエネルギーの作用は自分が確信した以上の効果を私に与えてくれています。
全てはエネルギーである
エネルギーが他のエネルギーに作用して物質が生まれ生物が生まれ、出来事が起こります。
その働きは我々が認知できるものではありません。
聞きかじりですが、アップクォークとダウンクオークという素粒子が原子核を構成し、原子核の周りを電子という素粒子が回って原子を構成し、原子が集まって分子になり、分子が集まって様々な細胞が作られ、その細胞が集まったものが私たちの体になります。
素粒子とは物質を構成する最小単位のことで、私たちの体だけでなく身の回りのすべてのものも素粒子が集まってできています。
しかもそのすべての元はたった三種類の素粒子だというのですから驚きですね!!
素粒子はエネルギーの塊ですから、全ての物質はエネルギーから作られていることになります。
安定を求めて進化する
宇宙が進化という方向性を持っているならば素粒子もその方向性を持っているか、進化というエネルギーの影響を受けていることになります。
素粒子同士はくっついたり離れたりしているのですが、その方向性は安定を求めているように思えます。
個人的には、進化は安定を求めながら進んでいくと思っています。
人間の材料である素粒子が安定を求めながら分裂と融合を繰り返していることから、私たち人間が安定を求めるのも自然なのかなとも思えます。
進化を邪魔する脳の働き
刻一刻と進む進化の流れを邪魔する脳の働きがあります。
それが、原始脳の決定を受けた人間脳の思考です。
原始脳の影響が強いため脳全体としては、
不安や不快から逃れ、安心や心地よさを求める、という基本的な欲求を持っています。
原始時代においてこれらの欲求は、命を守るために不可欠だったために思考よりも優位に働きます。
命を守るために不可欠だった欲求が、現在においては逆に進化の妨げになる可能性があります。
留まろうとする
更なる安定を求めて進んでいくのが進化ですが、多くの人は今ある安定を維持しようとします。
なぜなら脳が不安や不快を嫌うため、未知のもの新しいものへの挑戦や変化を恐れためらうからです。
会社でも家庭でも今がそこそこ安定していれば、今のままでも良いじゃないかという意見が多数を占めるのは当然ですね。
ただし、
どんなに留まろうとしても、進化のエネルギーが作用している限り留まることは不可能です。
留まろうとすればするほど問題が起きてきます。
心地良さに留まろうとすると依存症という問題が起きてくるなどが良い例です。
自由でない
お伝えしたように、進化のエネルギーは自由であるという条件の下で最適のルートを選びます。
しかし、脳の欲求に支配された思考は不自由を演出します。
不安や不快から逃れたい為に、安心や心地よさを得たいために、あれはダメこれはダメ、ああしなければいけないこうするべきだ、と自分の自由を奪ってしまいます。
自由になりたい、自由でいたいというのは人間脳の持つ欲求です。
なぜなら動物には自由とか不自由という概念がないからです。
ただ残念ながら多くの場合、人間脳よりも原始脳の方が優位に働くので、自由でいたいという欲求よりも不安や不快から逃れ、安心や心地よさを追求することを優先してしまいます。
自由でいたいと思いながら多くのこだわりを持つのがそのことを表しています。
大切なのは分裂と融合のバランス
もし誰かが、
自分を正当化しようとしている時
人の悪口を言っている時
自慢している時
常に怒りを抱いている時
嫉妬している時などなど、
その人には分裂のエネルギーが優位に働いています。
当然良い人間関係を築くことが困難になります。
融合のエネルギーを優位に働かせ人間関係を良くするには、認めてあげ、褒めてあげ、感謝し、思いやりをもって接することが大切です。
融合のエネルギーは分裂のエネルギーより力が強いので、人間関係がよくなるだけでも自分のステージが大きく変化します。
ただし、原始脳が人間脳よりはるかに優位に働いている人に対しては、効果が出ない場合もあります。
そんな人は進化の邪魔になるので、さっさと離れてしまうのがおすすめです。
自分の頭で考え自分で決める
進化とは自分を最高のステージに運んでくれるエネルギーの働きです。
もしあなたが今のステージに満足していなければ、自分の人生の方向性を考えましょう。
どんな人生を過ごせば自分が最高に幸せなのか。
もしその目的地が進化の目的と同調すれば、遠からずあなたの夢は叶うはずです。
ただし、
何をしようと、また何もしなくても、進化のエネルギーは作用していますので、日々自分のステージは動いていきます。
その意味において、今のあなたが一番、あなたは今のままでいい、とも言えます。
自分の人生を決めるのは、自分の思考であり言動であり、それから生まれるエネルギーです。
今この瞬間にも、1秒間に約100兆個のニュートリノという素粒子が私たちの体を通り抜けているそうです。
私たちはエネルギーに包まれ、エネルギーの作用を受けながら生き、進化しています。
一日のわずかの時間、進化に思いを馳せ、最高の人生を夢見るのも楽しいものだと思います。
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