シャーデンフロイデ

原始脳のお話

原始時代では立場の上下で命を維持したり子孫を残したりする難易度に大きな違いがあります。

その遺伝子を持っている私たちにも立場が上だと安心するという性質が備わっています。

ケンタッキー大学の社会心理学者、リチャード・スミスが研究しているのがシャーデンフロイデという他人の不幸を喜ぶ心理についてです。

他人の不幸がうれしい

個人心理学の創始者アルフレッド・アドラーに言わせれば、感情はコントロールできない。あくまでも感情は、何らかの刺激に対する反応 response にほかならず、押し殺すことも、別の感情へと変えることも、できはしないのである。

 ただし、刺激と反応の間には、その人の認知がある。例えば、他者から「バカだなぁ」と言われたとき、親密な関係を表しているのだと考える人もいれば、公然と貶められたと考える人もいる。前者の場合では喜びの感情が生じるし、後者の場合では怒りの感情が生じることだろう。

 人は刺激に対し、自分のなかで意味づけをすることで、感情を生み出しているのだ。したがって人が変えられるのは、結果としての感情ではなく、物事をどう捉えるかである。捉え方次第で、世界はあなたにとって生きやすくもなるし、反対に敵だらけの場所にもなりうる。

 とかく自尊心の低い人は、周囲の反応を否定的に捉えやすい傾向がある。ささいな出来事にも過剰に反応し、何度も思い返すことで主観的な事実を飛躍させてしまい、ネガティブな感情を増幅させてしまうのだ。こうして彼らは、強い嫉妬心、特殊な嫉妬心を抱いてしまう。とりわけ自尊心の低い人が抱く嫉妬心は、厄介な方向に行きやすい。

 ケンタッキー大学の社会心理学者、リチャード・スミスは、シャーデンフロイデという他人の不幸を喜ぶ感情について研究している。ネットの世界で言うところの「メシウマ」というのが、この感情だ。自尊心の低い人、すなわち現状の自分を認めておらず、自分の可能性を信じられない心もちの人は、シャーデンフロイデを抱きやすいようである。

 シャーデンフロイデは、自らが直接手を下したときではなく、その人が勝手に自滅したり、不正行為によって失墜したりしたときに、生じやすい。この点からしても、自尊心の低い人が抱きやすいものであることが分かるだろう。彼らは自分の可能性に否定的であるから、手を出さない。そのため、他者自身の落ち度によって失敗してくれたほうが、都合がよいのである。

 シャーデンフロイデが単なる嫉妬の感情と異なるのは、社会的に「上」の人間ばかりではなく「下」の人間に対しても抱かれることだ。この場合の「上」とか「下」というのは、あくまでもその人の認知によるものである。スミスは言う。

「私たちは、自分自身の良さを感じるように動機づけられている。つまり、自分についてのポジティブな感情を維持する手立てを探る。そのために頼りになる方法が、自分たちが価値を置いている属性について、他者より優れている自分を見つけ出すことだ。自尊心が揺らいでいるときに、劣った人物と比べると良い気持ちになる。」

 よってスミスは、シャーデンフロイデは「下」になったものとの比較によって生じると述べている。不正を働いた人や、大きな失敗をした人は、自分と同等か、それよりも「下」になったはずだ。そのように感じられる出来事が生じたときに、シャーデンフロイデは生じるのである。偉そうなことを言っていても、所詮はその程度。だとしたら、自分ができないのも当然だろうと自らを納得させ、安心させるのである。

 自尊心の低い人が他者と比較するとき、その人の心は不安に陥る。そして、自分自身では大きな成果を収めることはできないと感じているから、他者のランクのほうが下がることを期待してしまう。言うまでもなく、そのような人たちからなる組織では、ビジネスは発展していくことはない。組織とは、各々が自らの強みを発揮し、互いに協力し合うことで目標達成を目指す集団のことである。

参考:中野信子 なぜ「他人の不幸」は快楽なのか? | THE21オンライン (php.co.jp)

原子脳に影響を受けているから、人の不幸をうれしいと感じるのは当たり前のことです。

だって、人が失敗すると自分が生き残る可能性が上がるんですから。

心理学的には物事のとらえ方、と言われていますが、私は客観的に自分を見ることが出来るかどうかと考えています。

人の不幸がうれしいときは原子脳に操られて不安や不快を過度に感じ、安心や心地よさを求めていると思ってください。

自分を客観的に見ると、そのことがわかるはずです。

自分の人生を汚す

お伝えしたように、シャーデンフロイデとはライバルが失敗したり、嫌いな人が苦しんだりするのを見て喜ぶという感情です。

このような感情は、一見自分の自尊心を高めたり、ストレスを解消したりするように見えるかもしれませんが、実は自分の人生を汚すことになります。

なぜなら、シャーデンフロイデは、他人と比較して自分の価値を決めるという負の思考パターンに基づいているからです。

他人の不幸を喜ぶことで、自分は幸せだと錯覚するかもしれませんが、それは本当の幸せではありません。

本当の幸せとは、自分の内面から湧き出るものであり、他人との関係に依存しないものです。

シャーデンフロイデに囚われると、自分の内面に目を向けることができず、他人の評価や状況に左右されやすくなります。

また、シャーデンフロイデは、他人に対する共感や優しさを失わせることにもなります。

他人の不幸を喜ぶことで、自分は他人と距離を置くことになります。

他人の気持ちや立場を理解しようとしなくなります。

その結果、自分は孤独になり、人間関係が希薄になります。

シャーデンフロイデは、自分の心を冷たくし、自分の人生を貧しくすることになります。

ですから、シャーデンフロイデに陥らないようにしましょう。

他人の不幸を喜ぶ代わりに、他人の幸せを喜びましょう。

他人の成功や幸運を認めて祝福しましょう。

そうすれば、自分はポジティブなエネルギーに包まれるので幸せになれます。

シャーデンフロイデではなく、ミュートゥアル・ハピネス(相互の幸福)を目指しましょう。

 

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