原始脳の支配は本能から始まる
当然覚えていないでしょうが、赤ちゃんの時にはどんなだったか考えてみましょう。
お腹がすいたら泣き、どこかが痛いと泣き、オムツが濡れても泣き、暑くても寒くても泣き•••
どんな時に泣いたか思い出してみると(^-^; 不快や苦痛を感じた時だということが分かりますね。
赤ちゃんの段階での不快や苦痛は身体的なもので、ほぼ本能に従います。
少し成長すると、寂しい、怖い、悲しい、といった精神的なものでも不快や苦痛を感じて泣きます。
泣くのは、不快や苦痛を感じている状態から逃れる手段で、泣けば誰かが何とかしてくれると知っているのでしょうね。
さて、さらに成長して言葉を覚え人間関係が出来てくると、本能に加えて自らの精神を守ろうとする自己保護という性質が大きく育ち始めます。
基本的には、原始脳の持つ
-不安から逃れたい
-安心したい
-不快から逃れたい
-心地よくなりたい
という欲求に引きずられるように自分の精神の安定を何より大事にするようになります。
自分は正しい
自分の精神の安定を守るために多くの人が自分は常に正しいという位置付けをしてしまいます。
自分は正しいと思い込んでおくことが、自分が傷つかない方法の一つなのでしょうね。
だから、自分を正当化することに関しては一人一人が世界一なのです。
たとえ間違っていたとしても頭の中では言い訳がいくつも浮かんでくるのです。
さらによく言い訳をする人でも自分が言い訳を言っているなんて思っていません。
ただ自分の正当性を主張しているだけだと思っているのです。
必要以上に自分は正しいと思い込むと、間違うことに対して怖れを強く感じることになりますので、存在しない正解を探して苦しむことになります。
脳は安心したい気持ち良くなりたいという欲求のもと思考をコントロールするのですが、結局はそのことが別の苦しみや不安を作る原因になってしまいます。
生きるのが辛いと思う原因です。
自分は優れている
自分は優れていると思い込むことも自分の精神の安定を保つ方法になりますから、安心感を生むために人より上に立ちたがります。
そのため、子供のころから人と比べて自分が優れているところを探します。
自分が明らかに劣っていると思えるところは無視します。
大人になってからもこの傾向は変わらず、近年ではマウントを取りたがる人をマウンターと呼んだり、流行語大賞にノミネートされたりしています。
マウントとは、「私のほうが上だぞ」あるいは「お前のほうが下だぞ」と威圧し、自分の優位性をアピールする行為です。公認心理師の大美賀直子氏によると、心理学では「ディスカウント」(値引き)と呼ばれるそう。相手の価値を値引きする、という意味合いです。
- 学歴や年収をさりげなくアピールする
- プライベートが充実していることをSNSでアピールする
- 「そんなことも知らないの?」と無知をバカにする
などが、典型的なマウント。学歴や年収、仕事の実績、知識、持ち物など、さまざまなものが使われます。
マウントとは本来、サルなどの動物が弱い個体に馬乗りになり、自分の優位を示す行為。それが人間に置き換わり、現在の用法で広まりました。
マウントという言葉がはやり始めたのは、2014年頃です。火つけ役とされるのが、同年に出版された『マウンティング女子の世界 女は笑顔で殴りあう』(筑摩書房)。「肉食女子対草食女子」「都会暮らし女子対田舎暮らし女子」など、女性どうしの「マウンティング合戦」がテーマのエッセイです。
同年に放送されたテレビドラマ『ファーストクラス』でも、女性どうしの壮絶な「格づけ合戦」が描かれ、マウントとはどんな行為を指すのか認知が広まるきっかけになりました。結果として、その年に話題となった言葉を選ぶ「ユーキャン新語・流行語大賞」の2014年版では「マウンティング女子」がノミネートされたというわけです。
あなたの周りにも一人や二人はマウンターがいると思います。
人より上に立つことで安心したいという脳の欲求を満たすことが出来ます。
自慢が良い例ですが、本人は安心して心地良くても、周りの人は良い感じはしないものです。
周りの人は人の自慢を聞いて、安心や心地良さを感じないからです。
脳が安心や心地良さを追うことが、人間関係を壊す原因になってしまうのです。
生きるのが辛いと思う原因です。
自分はダメ人間だ
自分はダメ人間だと思い込むことも安心と心地良さを感じる一つの方法だと考えられます。
自分の生き方に対してハードルを下げることで、努力しなくても自分に言い訳が出来る、という心理が働き安心と心地良さを感じることが出来ます。
セミナーやカウンセリング時に、どうせ自分はダメ人間だからと言われる方が結構おられることには驚きますが、よく話をしてみると実際には人に認めてもらいたい、褒めてもらいたいという心理も併せて持たれています。
あえて自分を低く設定して安心感を得ようとするなんて、原始脳が思考をコントロールする仕組みには感動すら覚えます。
このように、命を守ろうとする本能に引きずられるように、原始脳の欲求を受け入れて自分の思考を組み立ててしまうのです。
生きるのが辛いと思う原因です。
しかしながら、原始脳の欲求を満たしたとしても結果として自分を幸せにはしてくれません。
思考が原始脳にコントロールされるという性質は持って生まれたものではない
自分を正当化することに一生懸命になるのも、
人の悪口を言うことで自己の正しさを確認しようとするのも、
自慢したがるのも、
怒ることで人からの攻撃を防ごうとするのも、
誉められると嬉しいのも、
悪口を言われると腹が立つのも、
全て自分を守ろうとすることに他なりません。
そして、
自分を守ろうとする自己保護という性質が強ければ強いほど、より自分を正当化し、すぐ腹を立て、気持ちよくなりたいために自慢ばかり口にするのです。
ところが、自分を守ろうとすることに一生懸命になればなるほど、悩みや苦しみは逆に増すことになります。
自分を守ろうとすればするほど、思い通りにならないことが増えるからです。
生きるのが辛いと思う原因になります。
原始脳の欲求は不安を嫌い、安心を求め、心地良さを求めるだけで、あなたの幸せを求める働きはしません。
あなたの幸せを求めることが出来るのはあなたの思考だけです。
にもかかわらず、後天的に身に付いた性質に操られ、悩みや苦しみを抱えて生きているのは愚かなことだと思うのですが、どう思われますか?
自分の頭を使ってしっかりと考えてください。
お話ししたように、本能に従って生まれてから身に着けていく性質は、自分の精神の安定を第一に守ろうとする働きをします。
生まれ持っている原始脳の欲求に従うことが自分の精神の安定につながるわけですから、躊躇なく受け入れてしまうのです。
あなたの思考があなたの原始脳に支配される始まりです。
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