辛いと感じる原因はたった一つ

原始脳のお話

あなたが辛いと感じるのは脳が勝手にパニックに陥るから

 

辛いと感じるのはあなたの脳がパニックに陥るから

私たちが思考を始めるより早く脳は働き始めます。

1983年にアメリカの生理学者ベンジャミン・リベットがこの事実を実験結果から導き衝撃的な発表をしました。

たしかに衝撃的ですよね。

それまでは自分の意思は自分で生み出すものと思っていたのに、実は自分で考えていたと思っているのは錯覚で、自分が考えるより先に脳が活動を始めているなんて。

多くの脳神経学者も信じがたかったのでしょうか、リベットの発表が正しいか否か確認しようと実験が繰り返されたそうです。

しかし、その結果を覆すような結果を導き出すことができずに、我々の意思決定には脳が主導的な役割を果たしていることが事実であると確認されることになりました。

つまり・・・

自ら脳を使おうとしない限り、脳は基本的欲求に従ってあなたの思考を勝手にコントロールするということです。

この事実こそ、あなたの人生のほとんどの悩みや苦しみを生む原因だと思ってください。

脳は基本的欲求に従いあなたの思考をコントロールしている

脳は遺伝的・経験的に不安や不快を嫌い、安心や心地良さを求めます。

この脳の欲求に基づいてあなたの思考が始まります。

つまり、何かの出来事があった時、それに対してまず反応するのはあなたの思考ではなくあなたの脳です。

あなたの脳の決定に対して、あなたの思考が始まりますが、多くの場合脳の欲求に従った決定をすることになります。

この事実にほとんどの人は気が付いていません。

自分の思考が、支配されているということ自体が、支配しているのがたとえ自分の脳であったとしても不快だからです。

不快なことから逃げるのが脳の欲求ですから、思考を止めてしまいます。

思考を止めるのは簡単。 自分のことではないと思わせればいいだけです。 

考えるのが苦手

脳は体の2パーセントほどの大きさしかありません。

にもかかわらず、消費するエネルギーは20パーセントと体の中でも大きなエネルギーを必要とします。

基本的に人間の体は省エネの性質を持っています。

食べ物が十分でなかった場合に無駄にエネルギーを消費するわけにはいかないからです。

その性質は現代でも持っていて、ほとんどの人は面倒くさがりで、考えるのが苦手です。

多くの人が考えていると思っていますが、実は単なる脳の反応である場合がほとんどだと思ってください。

脳の基本的な欲求は成長する過程で、いろいろな出来事に対する取捨選択を自動的にする性質を備え、その性質によりほとんどの場合考えることなくその出来事に対する態度を決定するということですね。

考えるのが苦手という脳の性質があなたに辛いと感じさせる手助けをします。

脳の性質についてはこのサイトでもいろいろな記事があるので、ご覧ください。

脳の性質を理解することは、あなたの人生を劇的に楽しくするツールだと思ってください。

脳は論理的に結論を出す機能は持っていない

私が長年カウンセリングで経験してきた中で、脳は不安や不快にはとても敏感に反応しますが、自ら論理的に結論を出す機能は持っていないと感じています。

脳の基本的欲求は本能に近いもので、何かが飛んで来たら避ける、程度の反応を引き起こすだけです。

人類が誕生して以来長い年月における不安や不快は単純なものだったはずです。

空腹、寒さや暑さ、敵との遭遇、暗闇・・・といった感じでしょうか。

当然対処も単純なもので、食べ物を探すとか移動するとか戦うとか。

ところが、言葉が生まれ文明が誕生すると、脳が感じる不安や不快は複雑化してきます。

肉体的な不安や不快はもちろんですが、精神的な不安や不快が大きくなってくるからです。

 

石器時代も現代も、脳の基本的欲求は

・ 不安から逃れたい

・ 安心したい

・ 不快から逃れたい

・ 気持ちよくなりたい

の四つだけです。

あなたは気付いていないでしょうが、あなたのすべての活動の奥底にある動機はこの四つだけです。

何かの出来事で脳が不安や不快を察知すると、それを取り除こうと脳が活動を始め、精神的な不安や不快にはただ単純に怒りや言い訳や悪口や思考の中での復讐などの反応を起こします。

そしてこれらの反応だけで不安や不快が緩和できないと脳はパニックに陥り、対処できなくなります。

あなたがつらいと感じるのは脳が対処できないから

お伝えしたような、考えるのが苦手・論理的思考ができない、という性質から、脳が反応で対処できない出来事に対して脳はパニックに陥ります。

脳に思考をコントロールされたままだと、脳の機能の範疇を超えることはできません。

そのため解決策が見つからず辛さを感じることになります。

あなたが積極的に脳を使おうとしない限り、脳は基本的欲求の範囲でしか働くことができません。

あなたがあなたの意志で脳を使うとき、脳は持っている力を発揮できると思ってください。

そして何らかの解決策を見つけ出すことができるでしょう。

だから、

辛い出来事に出会ったときは、まず深呼吸から。

そして、しっかりと対処法を考えてみましょう。

多くの場合意外に簡単に解決法が見つかるはずです。

ただし、大切な人を失った時など、考えるより先に思い切り泣いたほうが良い場合もあります。

逃げ出すことも良い方法です。

脳は逃げ出した時の損得を計算に入れますが、そこに入り込むと結論が出にくくなります。

まずは嫌なことから逃げる、そして落ち着いてからその後のことをしっかりと考える、ことをお勧めします。

 

脳のコントロールを理解する

 

自分自身に自由意思などなく、脳が勝手に自分の意思をコントロールしていると聞いてあなたはどう思われますか?

多くの人の反応は・・・まず否定しようとします。

科学的に証明された事実だと伝えられてもです。

次は無視しようとします。

自分が生きてきて疑うこともなかった自分の意志や思考というものが全否定されるわけですから当然のことですね。

以下がリベットの寄稿文になります。

https://academic.oup.com/brain/article-abstract/106/3/623/271932?redirectedFrom=fulltext
オックスフォード大学出版局

 

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