認知バイアス
認知バイアスとは「自分は正しい」と思い込む脳の働きと言えます。
確証バイアスや正常性バイアスなど、心理学ではいろいろな種類の認知バイアスが存在すると考えられています。
自分に都合のいい情報ばかり集めたり、自分に都合の悪い情報は無視したり、失敗を人のせいにしたりと、いろいろな場面で認知バイアスが働きます。
認知バイアスからは逃れられないのか?
認知バイアスの存在は以前から知られていますが、それから逃げる手立ては見つかっていません。
違った視点から見るとか、一つの情報を自分が納得できるものだけではなく反対意見も見てみるとか、自分は本当に正しいのか再度考えてみるとか、およそできそうにないことが対処法として挙げられています。
認知バイアスから逃れるためには、原始脳の欲求に気付くことが大切です。
認知バイアスの裏にひっそりと隠れている原始脳の欲求に気付くことができれば、思考を自分に取り戻すことができます。
そうして初めて原始脳の支配から逃れることができ、同時に認知バイアスからも逃れることができるのです。
バイアスから逃れることはできない
思い込みや判断のバイアスは、本来は判断にかかる時間や情報処理を節約しようとすることから生まれてきたものと考えられます。
相手に対する情報が少ないときには、私たちは外見や第一印象を手がかりに性格や特徴を推測しようとします。
論理的錯誤やステレオタイプなどはそうした推測判断といえます。
こうした判断には私たちの経験則も含まれているので、必ずしも間違いとはいえない面もあります。
しかし、こうに違いないという思い込みが働くと、相手の持っている本来の特性・特徴を見逃してしまうことにもなりかねません。
では、思い込みや判断バイアスを防ぐには、どうすればよいでしょうか。残念ながら完全に防ぐ方法はありません。
私たちはさまざまな情報を手がかりに相手を判断しますが、その中には多かれ少なかれ、思い込みや認知バイアスが混入するものです。
大切なことは、そうした混入があるということを知っていることです。
例えば錯視は、それが錯覚であることを知っている場合でも、どう見てもそうにしか見えません。しかし、それが錯覚であることを知っている場合と知らない場合とでは、それを見る私たちの心持ちや態度は違ってきます。
東京未来大学 教授・学長 角山剛 記
引用元
認知バイアスは原始脳の欲求が基になる
原始脳が持つ欲求は
✅ 不安を嫌う
✅ 不快を嫌う
✅ 安心を求める
✅ 心地良さを求める
これらの四つです。
これら四つが原始脳の基本的な欲求で、人のほとんどの言動の動機になります。
私たちの思考は原始脳にコントロールされていることはしつこくお伝えしていますが、そこに気付かない限り人の言動は原始脳の欲求のままになります。
認知バイアスもこれら原始脳の欲求に従って起こる心理的現象で、すべての認知バイアスの裏には、不安や不快を嫌い安心や心地良さを求める原始脳の働きが隠れています。
認知バイアスの一種と考えられているダニング=クルーガー効果などはこれら四つの原始脳の欲求がすべて隠れている例です。
ダニング=クルーガー効果とは、実際の自分に対する周りからの評価に比べて自分を過大評価してしまう現象で、能力の高い人よりも能力の低い人に現れやすいと考えられています。
自分の能力の低さをバイアスをかけて自分は優秀だ、ユーモアセンスもあり優しいなどと思い込むことで、不安や不快を感じることをなくし、安心や心地良さを感じるのです。
もちろんやみくもにバイアスがかかっているわけではなく根拠も持っています。
能力の低い人は他人と自分を比べては自分の勝っているところを探します。
不安や不快から逃れ、安心や心地良さを求めるからですね。
そうすると、誰と比べても一つや二つは勝っているかもしれないところは見つかります。
背が高い、足が長い、髪がきれい、などの見た目だけでなく、歌がうまい、足が速い、ゲームが上手といったことでも相手より勝っていると感じます。
これを繰り返すことでいつの間にか自分は優れた人間だと思い込んでしまうのです。
この現象の強い人は自分で思っている自分への評価を疑うことはないので、自分が正当に扱われていないという不満が生まれます。
当然周囲と良い関係が築けるわけはありません。
脳の言うことを聞くと悩み苦しむ
自分を安心させたり心地良くなりたいという動機でかけたはずのバイアスが、結局は自分を苦しめることになります。
これが原始脳の働きです。
原始脳は欲求に従って思考をコントロールしますが、先のことまで見通す力があるわけではないので、四六時中不安や不快と戦い、安心や心地良さを求めることになります。
思考はそれにつられて悩みや苦しみを抱えることになります。
人間だけが脳に逆らえる
原始脳は長期的な展望を持っているわけではありません。
ただその場しのぎの対応をするだけです。
動物と同じレベルです。
原子脳とは自己保存ができれば十分なのです。
私たちがもっと進化すればどうなるかはわかりませんが、現時点では脳は私たちの幸せには関心を持っていないことは明白です。
幸せという概念のない動物と同じく原始脳の欲求のまま生きていくのは人間らしいとは言えないと思います。
原始脳が反応し、決断した結果に動物は逆らうことができません。
自分にとって、周りの人たちにとって何が最良か考えることができるのは人間に与えられた特性です。
それでもなお原始脳の欲求のままに生きるつもりですか?
原始脳の欲求に気づかず、認知バイアスのかかったまま生きた結果、難しい人間関係や経済的困窮、健康や死への不安といったことで悩み苦しむ時間が訪れることになります。
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